近衛家このえけ)” の例文
旧字:近衞家
「あ、そうか。そうでおざるか。近衛家このえけの御用人松尾殿の甥御おいごであらっしゃるか。松尾殿は、わしもよう存じ上げておる」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近衛家このえけに縁故のある津軽家は、西館孤清にしだてこせい斡旋あっせんに依って、既に官軍に加わっていたので、路の行手ゆくての東北地方は、秋田の一藩を除く外、ことごとく敵地である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「こちらに、近衛家このえけからか出た大層お古い、名箏めいそうがあるようにうかがっておりましたが——」
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
二十四の年に後家さんになった将軍の御台所が、すなわち天璋院てんしょういんであります。天璋院殿は島津の息女であったけれども、近衛家このえけの養女として、将軍家定に縁附いたものだということであります。
わが主人政宗は、一年二回は必ず国内の産物を挙げて、近衛家このえけの手より禁中へ献上なされる。——どんな戦乱の年でも、この伝献を怠られたことはござらぬ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「間違いではない、摂家筆頭の近衛家このえけだって、千石そこそこだ」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
叔母の良人おっとは、近衛家このえけに勤めていて、ろくのひくい小侍だと覚えている。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)