辰年たつどし)” の例文
辰年たつどし六月に日本橋とおり一丁目、二丁目が年番に当った時、この二ヶ町で八千八百両の費用がかかった。
実際丙午ひのえうまの女に関する迷信などは全くいわれのないことと思われるし、辰年たつどしには火事や暴風が多いというようなこともなんら科学的の根拠のないことであると思われるが
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
当分仕事が出来ないと云って諸方の注文を断り、親方清兵衛にあとを頼んで、文政三辰年たつどしの十一月の初旬はじめ、兼松を引連れ、湯治のため相州湯河原の温泉へ出立いたしました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
慶応四年辰年たつどしの五月十五日——私の十七の時、上野の戦争がありました。
道中筋の賃銀も割増し、割増しで、元治元年の三月からその年の二月まで五割増しの令があったが、さらにその年三月から来たる辰年たつどし二月まで三か年間五割増しの達しが出た。実に十割の増加だ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「文化五年辰年たつどしだろう」
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある辰年たつどしの冬ある地方がひどく乾燥でそのために大火が多かったとして、次の辰年にも同様な乾燥期が来るということには、単なる偶然以外に若干の気候週期的な蓋然率がいぜんりつが期待されないこともない。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)