轔々りんりん)” の例文
車の響は轔々りんりんとして絶えなかった。途の曲りではぐらぐらと揺れた。そんな時には青年の体と老嫗の体とがぶっつかった。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
轔々りんりん蕭々しょうしょう行人こうじん弓箭きゅうせん各腰にあり。爺嬢やじょう妻子走って相送り、塵埃じんあい見えず咸陽橋かんようきょう。衣をき足をり道をさえぎこくす。哭声ただちに上って雲霄うんしょうおかす。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
第三の車が糸子をせたまま、甲野の門に轔々りんりんの響を送りつつけて来る間に、甲野さんは書斎を片づけ始めた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
轔々りんりん轟々ごうごう轣轆れきろくとして次第に駈行かけゆき、走去る、殿しんがりに腕車一輛、黒鴨仕立くろがもじたて華やかに光琳こうりんの紋附けたるは、上流唯一の艶色えんしょくにて、交際社会の明星と呼ばるる、あのそれ深川綾子なり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
轔々りんりんと私の乳母車を押せ
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
打頷うちうなずけば轔々りんりんとして走りぬ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)