輿丁よてい)” の例文
香以を得意の檀那としていた駕籠屋かごやは銀座の横町にある方角と云う家で、郵便のない当時の文使ふみづかいに毎日二人ずつの輿丁よていが摂津国屋に詰めていた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「御輿を下せ御輿を下せ」と巡査がせ集って、烈しい論判の末、到頭輿丁よていほかは許さないということに成った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
輿丁よてい相語テ曰ク初秋大風雨ノやぶル所トナリ、ソノ熟セザルコトかくノ如シ。二岩三陸ニ連ツテ皆しかリ。就中なかんずく南部若松更ニ甚シトナスト。余コレヲ聞キ心ひそかニ憂フ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで、欧州はかみ元首よりしも輿丁よていに至るまで、戦争の禍害を自覚することとなった。
大戦乱後の国際平和 (新字新仮名) / 大隈重信(著)