跡切とぎ)” の例文
田圃たんぼを隔てた町のほうから、太鼓や笛の音が、高くなり低くなり、跡切とぎれたかと思うと急に拍子を早めたりして、聞えて来た。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その夜、藤沢古実君に、言葉が跡切とぎ跡切とぎれに、『おれはな、いかんとも疲労してしまつてなあ。余病のために、黄疸のために、まゐるかも知れん』
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
貞之助と幸子とは、さっきから内々空腹を感じ出していて、互にそっと腕時計を見ては眼を見合わしていたが、会話の跡切とぎれた時を待って、貞之助が云った。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、一ところ藪地が跡切とぎれ、まるまるともりあがっている塚があった。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
田圃たんぼを隔てた町のほうから、太鼓や笛の音が、高くなり低くなり、跡切とぎれたかと思うと急に拍子を早めたりして、聞えて来た。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
告白の文章はここで跡切とぎれ、あとは墨の色も新らしく、走り書きで、次のように続いていた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かれらはひどくいそいでいるようで、ふっと声が跡切とぎれ、すぐにまた女の声が聞えた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
呼吸は浅く、短く、それもふとすると跡切とぎれるようであった。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)