赤縞あかじま)” の例文
そのまっくろな林のなかからきつね赤縞あかじまの運動ズボンをはいて飛び出して来ていきなり獅子の前をかけぬけようとしました。獅子は叫びました。
月夜のけだもの (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かすりの単物に、メリンスの赤縞あかじまの西洋前掛けである。自分はこれを見て、また強く亡き人のおもかげを思い出さずにいられなかった。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
オントレの茶園をおとづれた時のゆき子の赤縞あかじまのギンガムのスカートが、昨日のことのやうにまぶたにちらつく。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
患者は大きな馬革のスリッパをぺたぺたいわせ、荒い赤縞あかじまに大きな花模様のついた木綿の寝間着のすそをはためかせながら、勢いよく隅から隅へ歩き廻っている。
赤縞あかじまのワイシャツなどを着て、妙に気取っている。「からだころもまさるならずや」とあるを未だ読まぬか。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
家宅捜索の日に、自分を刎ね飛ばして、穴蔵から、赤縞あかじま双子ふたこ解皮ときかはが一反、黒繻子の帯も、之も解き放した片側が一本出てきたとき、あの親様のおつか様が恐しい目をして私を睨んだ。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
道化の赤縞あかじまかみしもは、平次が考へたやうに、同じものが二た組ありました。しかもその一と組は衣裳戸棚の底へ、團子にしてねぢ込んで、容易に見付からないやうにしてあつたのでした。
その人に寄り添ってくる道づれは、小股こまたの切れ上がった江戸前の女で、赤縞あかじまの入った唐桟とうざんの襟付きに、チラリと赤い帯揚をのぞかせ、やはりはにかましげな目を、草の花にそらしながら歩いていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道化の赤縞あかじまかみしもは、平次が考えたように、同じものが二た組ありました。しかもその一と組は衣裳戸棚の底へ、団子にしてねじ込んで、容易に見付からないようにしてあったのでした。