諾威ノルウェー)” の例文
岩壁の一外国船に黒地に白を四角に抜いた出帆旗がひるがえっていた。一眼でそれが諾威ノルウェーPN会社の貨物船フレイタアであることを為吉は見て取った。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そのさくのそとには伊太利イタリイ大使館や諾威ノルウェー公使館の立派な自動車などが横づけになり、又、柵のなかには何台となく自転車が立てかけられていた。
木の十字架 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
中央にいる諾威ノルウェー人の前砲手、ヨハン・アルムフェルト・ヴィデだけがずば抜けて高く、それから左右に、以前は一等運転士だった石割いしわり苗太郎なえたろうと朝枝、そして両端が
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
やはり八丈島ないしは露西亜・諾威ノルウェーの旧慣のように、父の名でも頭に付けなければまずはわからぬ。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ビクターの旧吹込時代には、リストの『愛の夢』とショパンの『幻想即興曲』とグリークの『諾威ノルウェー結婚行進曲』とハイドンの『愉快な鍛冶屋』が入っていた筈である。
諾威ノルウェー道路に彼の姿が見えなくなると、リー・シー・ツワンは鏡の前でシルクハットをかぶった。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
隊長から探検船の下級水夫まで含めれば、万という数に達する壮烈な大機動戦で、三人の世界選手——諾威ノルウェーのアムンゼン、英国のスコットとシャクルトンだけが八十度以南を征服した。
南極記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
新生の坂本新太郎を名乗って自分は当分此の諾威ノルウェー船を降りまい、其の内に二つ三つ船を換える間に国籍も解らなくなるに違いない。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
フランダースの飾り皿の和蘭オランダの風景や、鯨にもりをうっている諾威ノルウェーの捕鯨船の図などに眼をよせて眺めると、今まで見落としていた小さな花々や、浮雲や、遠い風車や、波の間で泳いでいる魚などを
しかも一方では、王クローディアスやレイアティズとも関係するばかりでなく、末には諾威ノルウェーの王子フォーティンプラスとも通謀して、ハムレット亡き後の丁抹デンマークを、彼の手中に与えてしまうのである。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
日本も諾威ノルウェーに劣らぬ山国で、一々の盆地に一々の村、国も郡も村も多くは山脈を以て境しているが、その山たるや大抵春は躑躅つつじ山桜の咲く山で、決してアルネの故郷の如く越え難き雪の高嶺ではない。
峠に関する二、三の考察 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「乗せて行って呉れ、悪い奴に追っかけられてる。何処どこへでも行く、何でもする。諾威ノルウェー船なら二つ三つ歩いてるんだ」
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)