訓戒いましめ)” の例文
されども浪子は父の訓戒いましめここぞと、われをおさえて何も家風に従わんと決心のほぞを固めつ。その決心を試むる機会は須臾すゆに来たりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
これまでは罰や、罪業に対する一応の訓戒いましめじゃ。そこを助ける、生きながら畜生道に落ちる処を救いたまわる、現当利益りやく、罰利生りしょう、弘法様はあらたかやぞ。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
多一やい、皆への馳走ちそうに猿を舞わいて見せてくれ。恥辱はじではない。わりゃ、丁稚でっちから飛上って、今夜から、大阪の旦那の一にんむかしを忘れぬためという……取立てた主人の訓戒いましめと思え。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中将の書斎には、父子おやこただ二人、再び帰らじと此家ここでし日別れの訓戒いましめを聞きし時そのままに、浪子はひざまずきて父のひざにむせび、中将はき入るむすめせなをおもむろになでおろしつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)