見越入道みこしにゅうどう)” の例文
悪く抜衣紋ぬきえもんで、胸を折って、横坐りに、蝋燭火ろうそくび紙火屋かみぼやのかかったあかりの向うへ、ぬいと半身で出た工合が、見越入道みこしにゅうどう御館おやかたへ、目見得めみえの雪女郎を連れて出た、ばけの慶庵と言うていだ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まことは——吹矢ふきやも、ばけものと名のついたので、幽霊の廂合ひあわいの幕からさかさまにぶら下り、見越入道みこしにゅうどうあつらへた穴からヌツと出る。雪女はこしらへの黒塀くろべいうっすり立ち、産女鳥うぶめどり石地蔵いしじぞうと並んで悄乎しょんぼりたたずむ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まことは——吹矢も、化ものと名のついたので、幽霊の廂合ひあわいの幕からさかさまにぶら下がり、見越入道みこしにゅうどうあつらえた穴からヌッと出る。雪女はこしらえの黒塀にうっすり立ち、産女鳥うぶめどりは石地蔵と並んでしょんぼりたたずむ。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)