西ウエスト)” の例文
西ウエストの人たちは、ロンドンに、自分たちとまったく外見まで違うイギリス人の大群がいることを、至極当然としているらしかった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それから、新聞街、問屋町、西ウエストバッキンガムに至るまでの活溌な、広い路。そのどこに諸君の町があるか。知っているか? 地表のロンドン市がいるのは労力だけだ。
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そういう西ウエストの色彩、声、動き、習慣のすべてはゴールスワージーの小説の舞台であり、バーナード・ショウの皮肉の本質にそういうものがあるように、自己満足があるのだった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ロンドンのイースト西ウエストにある階級のちがい、生活のちがいが、同じイギリス人とよばれる人々の人生をはっきり二分していて、まったく別のものにしている現実をまざまざと目撃して
人はそこまで出てしまうと西ウエストから来て再び西ウエストへ寄せ返す人波と、二つの巨大な磁石巖——株式取引所と銀行とのまわりで揉み合い塵を捲き上げつつ流れる人渦とを見るだけである。
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)