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裏門前
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うらもんまへ
其手を取て
突除けつゝ
見相變て忠兵衞さん扨は其朝長庵が傘をもさゝず天神樣の
裏門前にて
逢れし時口
利れたは
確乎な
證據夫程證據の有事をなどて今日迄
包まれしや情なき忠兵衞殿
無念々々と
齒噛を
も言はざりしが
漸々にして答るやう如何にも
御噺申せし通り平川天神の
裏門前にて其日の
曉長庵に
逢しに相違これ無ことに付其所は
何處迄も證據人に相立申べし
去ながら
札の
辻の人殺しが長庵と言ふことの證據人には
相立難しと言へば長助
點頭夫は如何にも
承知致しぬ只平川にて其朝まだき長庵に
逢たると言ふことを