袁世凱えんせいがい)” の例文
袁世凱えんせいがいを気取るような無茶な野心家ではない、郡県の制や、泰西文物の輸入や、世界大勢順応は、むしろ素直に進んでいたかも知れない。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小肥こぶとりの体にやや低い身長せい。鋭い眼光に締まった口。ああそれはかつての大統領、またそれはかつての支那の皇帝、袁世凱えんせいがいの姿ではないか!
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
袁世凱えんせいがいは選ばれて大総統となり、支那は一時は大いに覚醒したように見えたけれども、次いで第二の革命が起った。
敵は名に負う袁世凱えんせいがいの手兵だ、どッどッどッと煙をたてて寄せくる兵は何千何万、とてもかなうべきはずがない
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
章介 そう簡単に言うがね、袁世凱えんせいがいという人間は、とにかくこの間の第二革命で清朝に替る大勢力となってしまったが、国内では彼の政策を必ずしも歓迎していない。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
この書はまず袁世凱えんせいがい孫逸仙そんいっせんの人物月旦げったんに始まり、支那民族性への洞察から
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
が、その糸のように細い眼だけは、——上品な縁無しの眼鏡の後に、何時も冷然と微笑した眼だけは、確に出来合いの代物しろものじゃない。この眼の為に袁世凱えんせいがいは、先生を囹圄れいごに苦しませたのである。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「それは袁世凱えんせいがい討伐のために軍をおこしたのですね」
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「お前は回鶻ウイグル語が読めるのか? 袁世凱えんせいがいのくれたという手箱の中の羊皮紙をどうしてお前は読んだのじゃ?」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
父母は革命の犠牲となって袁世凱えんせいがいの軍に殺された。そして家財は没収され家の大半は焼き払らわれてしまった。その時私は十五歳であった。そうして妹は十一であった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)