融合ゆうごう)” の例文
その境地では、おそらく、芸術と生活との対立が解消されて、両者の渾然こんぜんとした融合ゆうごうが、実現されることになるのではあるまいか。
「ヴェニスに死す」解説 (新字新仮名) / 実吉捷郎(著)
その境地では、おそらく、芸術と生活との対立が解消されて、両者の渾然こんぜんとした融合ゆうごうが、実現されることになるのではあるまいか。
億百万のばけものどもは、通り過ぎ通りかかり、行きあい行き過ぎ、発生し消滅しょうめつし、聨合れんごう融合ゆうごうし、再現し進行し、それはそれは、実にどうも見事なもんです。
一箇の中に、無数の人間意志や宇宙意志を融合ゆうごうしており、彼自身は、それを“われ”だとしている者である。また周囲も、庶民も、それを“彼”だとしている者である。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少なくとも太平洋上の諸島には、この未来の融合ゆうごうに向かって、期待をつなげずに居られぬものが多く、さらに今回の南島研究復興に至っては、新たなる一つの機縁ではないかとさえ想像せられる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
よく人にかれることであるが、自分の今の考えでは、壇ノ浦以後、椎葉山中のような平家村の生態までを、そしてある一時代に、平家文化を咲かせた人間の集団と大自然との融合ゆうごうまでを
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、平時に民部みんぶの教えるところであった。民部は伊那丸を勇士ゆうし猛夫もうふ部類ぶるいには育てたくなかった。うつわの大きな、とくのゆたかな、品位ひんい天禀てんぴんのまろく融合ゆうごうした名将めいしょうにみがきあげたいとねんじている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)