虹鱒にじます)” の例文
アメリカから移り殖えた虹鱒にじますとか川鱒かわますとか、北海道から内地へ移して人工で繁殖した鱒に比べると、比較にならないほど、姿も大きく味も上等である。
鱒の卵 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
ますの種類で、虹鱒にじますというのが、育ちが早くてうまいというので、諸国の人が、アメリカからそれを移したがっているから、追々こっちへ来るかも知れない——といったようなもので
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
四寸ぐらいもある美しい虹鱒にじますだった。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは、虹鱒にじますであろう。かげろうの羽虫を餌として、はりを瀬脇に投げ込めば、瞬間にグッとくる。しかと餌を食い込んだのだ。竿も折れよとばかりの強引である。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
この頃の日本へは、亜米利加アメリカ系の虹鱒にじます河鱒かわます、北海道から姫鱒ひめますなどが移入されて繁殖しているが、その頃の利根川へは、古来東日本の河川に遡ってくる日本鱒である。
利根川の鮎 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
虹鱒にじますの共食いには、驚いたことがあった。浅間山麓六里ヶ原の北軽井沢に、一匡邑いっきょうゆうと呼ぶ文化村があって、そこへ別荘を構えた物持ちが、庭前へ虹鱒の養殖池を設けた。
石を食う (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
湯の湖へは姫鱒ひめます、湯川へは川鱒かわます虹鱒にじますを、帝室林野局で年々数多く放流している。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
荷口村の養鱒場で、美味口に奢る虹鱒にじますせんも嗜んだ。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)