薩摩飛白さつまがすり)” の例文
見れば薩摩飛白さつまがすり黒絽くろろの羽織を着流した、四十恰好かっこうの品の好い男が出た。神経の興奮しているらしい声で、こう云った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
ところへ花道から俳人高浜虚子たかはまきょしがステッキを持って、白い灯心とうしん入りの帽子をかぶって、透綾すきやの羽織に、薩摩飛白さつまがすり尻端折しりっぱしょりの半靴と云うこしらえで出てくる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
竜田はその薩摩飛白さつまがすりの羽織の胸紐むなひもをぐッと
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
無論流行などは人の真似をする。われわれがく子供の内は東京の者はこんな薩摩飛白さつまがすりなどは決して着せません。田舎者でなければ着ないものでした。それを今の書生は大抵皆薩摩飛白を着る。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)