薩摩上布さつまじょうふ)” の例文
めぬ眼をわざとみはって座敷へ出て来ると迷亭が薩摩上布さつまじょうふを着て勝手な所へ陣取ってしきりに扇使いをしている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
薩摩上布さつまじょうふに秋草の刺縫ぬいのある紫紺しこんの帯を町家まちや風にきちんと結んだ、二十二、三の下町の若御寮わかごりょう
今日名のある大島紬おおしまつむぎとか薩摩上布さつまじょうふ等呼ぶ微細な模様の絣はずっと後のもので、むしろ技巧にしたものに外なりません。沖縄自身のものは遥かに健全で確実で本格的な仕事です。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ここで「薩摩絣さつまがすり」または「薩摩上布さつまじょうふ」といわれるものについても記しておかねばなりません。元来は琉球のものでありまして、実際薩摩ではこれを「琉球絣りゅうきゅうがすり」と呼んでいるほどであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)