薄昏うすぐら)” の例文
その翌日、雨はあがつてゐたが、梅雨時つゆどきのやうな薄昏うすぐらい朝であつた。富岡は営林署へ行き、赴任ふにんの挨拶をした。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
それもかなはぬなら、チッバルトがてゐやる薄昏うすぐらべうなか婚禮こんれいとこまうけてくだされ。
薄昏うすぐらい夜明けの海上で、ふつと、こんな島に出くはしたら、さだめし気味の悪いものであらうと思へた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
お互ひの心の交流のなかに、少しづつ、死の意識が薄昏うすぐらい影になつて、眼底をかすめた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)