菰包こもづつみ)” の例文
以前彼が江戸を去る時と同じように、引きまとめた旅の荷物は琉球りゅうきゅう菰包こもづつみにして、平兵衛と共に馬荷に付き添いながら左衛門町のかどを離れた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
道具は大抵菰包こもづつみにしてしまつた。膳も大きなのを一箇ひとつ出してあるばかりであつた。昼飯には皆ながそれを取巻いて食つた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
玄関前に、この間引越のときにほどいた菰包こもづつみ藁屑わらくずがまだこぼれていた。座敷へ通ると、平岡は机の前へ坐って、長い手紙を書き掛けている所であった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある日、信州にいる義弟から南瓜の菰包こもづつみを送って来た。
忘れがたみ (新字新仮名) / 原民喜(著)