菅野すがの)” の例文
菅野すがのに移り住んでわたくしは早くも二度目の春に逢おうとしている。わたくしは今心待ちに梅のつぼみほころびるのを待っているのだ。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
男はずっとかむりし手拭をり、小火鉢の向うへ坐した様子を見ると、何うも見覚みおぼえのある菅野すがの伊之助らしい。
「今年になってから菅野すがの君と僕、それから大谷君です。昨今辰野君というのがきまりかけています」
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
専業の幇間ほうかんで、当時山城河岸の家へ出入していたものは、桜川善孝、荻江おぎえ千代作、都千国、菅野すがののん子等である。千国は初の名が荻江露助、後に千中と云う。玄冶店げんやだなに住んでいた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
もっとも、幸子あてに来た姉の手紙を読むと、少し頼りないようなところもあって、飛び着く程の縁談とも云えないのであるが、ありようは、義兄の長姉が縁付いている大垣おおがき在の豪農に菅野すがのと云う家があり
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
因幡いなば八頭やず菅野すがの村大字淵見字日向阿原
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
丘阜きゅうふに接するあたりの村は諏訪田すわだとよばれ、町に近いあたりは菅野すがのと呼ばれている。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)