茹卵ゆでたまご)” の例文
殆どやけになって、彼は茹卵ゆでたまごを取って食べようとしましたが、これもすぐに川鱒やお菓子と同じように、金になってしまいました。
ゆうべのうちに下拵したごしらえをして置いた茹卵ゆでたまごやハムでサンドイッチをこしらえたり、蜜柑水みかんすいをつくったりなかなかいそがしいのです。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
石を敷いたみちの右側には白いアセチリン瓦斯ガスがあって、茹卵ゆでたまご落花生らっかせいを売る露店ろてんが見えていた。瓦斯の燈はその露店のうしろれた柳の枝の嫩葉わかばにかかっていた。
女の首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
塵埃じんあいを浴びて露店の群れは賑っていた。ざるに盛り上った茹卵ゆでたまご。屋台に崩れている鳥の首、腐った豆腐や唐辛子の間の猿廻し。豚の油は絶えず人の足音に慄えていた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
おいしい小さな川鱒かわます、ロース焼の馬鈴薯ばれいしょ、新鮮な茹卵ゆでたまご、それからコーヒーなどをマイダスに、そして姫のメアリゴウルドのためには一杯のパン入りミルクが供えてあったことと思います。