花暖簾はなのれん)” の例文
花暖簾はなのれんといった感じの、天地を紅と浅黄とで染めた鶴と亀との模様の幕が張りまわされ、そのうえに提燈の火があかるく照りはえていた。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
どの茶屋も軒には新しい花暖簾はなのれんをかけて、さるやとか菊岡きくおかとか梅林ばいりんとかいう家号を筆太ふでぶとにしるした提灯がかけつらねてある。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あたくしがかすかに覚えているのだから、明治も中期のことであったろうが、この劇場と、芝居茶屋の前に、道路に桜が植えられ、燈籠とうろうがたったほどこの一角は、もうせんと、花暖簾はなのれん
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
どの茶屋も軒にはあたらし花暖簾はなのれんをかけて、さるやとか菊岡とか梅林ばいりんとかいう家号を筆太に記るした提灯ちょうちんがかけつらねてある。
島原の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その花暖簾はなのれん軒提灯のきぢょうちんの華やかな光景はもう見られない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)