船乗ふなのり)” の例文
旧字:船乘
彼は船乗ふなのりの暮しを少しもつらいとは思わなかった。皆から快活な性質を愛されながら、自由で男らしいその仕事をむしろ楽しんでいた。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
毎日、彼は、ぶらぶら歩きから帰って来ると、だれか船乗ふなのりが街道を通って行かなかったかと尋ねるのが常であった。
著作家や牧師のやうな始終しよつちゆううちばかしにくすぶつてゐるのは一番の困り者で、出来る事なら船乗ふなのりや海軍軍人のやうな月の半分か、一年の何分なにぶんの一かを海の上で送つて
頑丈な船乗ふなのりの体も、美少年のまえに正当に立つと、ぶら下がったという言葉がおかしくないほど、背も骨ぐみも、段ちがいに美少年のほうがたくましくて立派だったのである。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ダガネ、モウ少し過ぎると僕は船乗ふなのりになって、初めて航海にくんです。実にたのしみなんです。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
昔、西洋の船乗ふなのりたちは、『ラノン海賊』の名を聞くと、ぶるぶるふるえ上ったものである。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
うえでひょろひょろになっていて、しかも武器といってはナイフ一挺しか持たないので、こんなとき、訓練のとどいた三、四十人の船乗ふなのりに立向われたら——と思うと慄然ぞっとしないわけに行かなかった。
近頃の船乗ふなのりはみんな頭がどうかしたに違いない
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さすがは、末山大将の友だちだけあって、オーガン大佐は強い船乗ふなのりだ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
もしも船乗ふなのり調子の船乗物語や
船乗ふなのりらしい大きな、荒っぽい声だ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)