舷々げんげん)” の例文
まだ舷々げんげん相摩あいましもせぬ戦の真先に、弟を討たれて、蔡瑁さいぼうは心頭に怒気を燃やし、一気に呉の船列を粉砕せよと声をからして、将楼から号令した。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翠嶂すいしょう山と呼ぶこのあたり、何かわびしい岩礁と白砂はくさとの間に高瀬舟の幾つかが水にゆれ、波に漂って、舷々げんげん相摩あいまするところ、たれがつけたかその名も香木峡という。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
船と船とが、すれ違いになったとき、方船は黒船の舷側げんそくにぴったりと吸付いてしまった。いや、吸付いたとみたのは、しおのために、舷々げんげんあいしたのだ。方船の生残者たちは
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
と、それだけでもう、どの船でも舷々げんげん口々くちぐちな騒ぎだったが、かねて右馬介からつぶさな情報をえていた尊氏は
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舷々げんげん相うちついえて
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と、ゆづるをそろえて“横矢”の矢ぶすまを浴びせて来たし、また船上の海兵もただちに、その舷々げんげんを跳び下りて来て、直接、新田勢の前進をはばめにかかッて来たものだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舷々げんげん相ふれると、玄徳は琦の手をとって迎え入れ
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戦鼓せんこめいめて、舷々げんげん歌う
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)