舟脚ふなあし)” の例文
二人は眼を合せて合図のように頭を下げ合ったが、下流に向う筒井の渡舟は俄然がぜんとして舟脚ふなあしを流れにまかせて、もう、かなりへだたって行った。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
この時もう我々の猪牙舟ちょきぶねは、元の御厩橋おうまやばしの下をくぐりぬけて、かすかな舟脚ふなあしを夜の水に残しながら、彼是かれこれ駒形こまかたの並木近くへさしかかっていたのです。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さかのぼるので舟脚ふなあしが遅い、おもてかすめる飛沫しぶきの霧! 息づまりそうな川風に鬢髪びんぱつが立つ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのまた舟脚ふなあしの速さといったらない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)