舞扇まいおうぎ)” の例文
「三河屋へ行って聴いて来ましたが、お三輪は宵のうちに、あの踊屋台に舞扇まいおうぎを忘れたんだそうで、それを取りに行ったそうですよ」
何も皆よいというわけにゆきませんが、品位の高い品が今も作られます。有職ゆうしょくものから各派の舞扇まいおうぎ祝扇いわいおうぎから不断遣ふだんづかい、男もの、女もの、いずれにも典雅なものが用意されます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
舞台の真中に金紙きんがみ烏帽子えぼしかぶって、真白に顔を塗りたてた女が、さおのようなものを持ったり、落したり、舞扇まいおうぎを開いたり、つぼめたり、長い赤いそでかざしたり、翳さなかったり
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その年の桜咲く頃八重は五年振りにて再び舞扇まいおうぎ取つて立つ身とはなれるなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「なんじゃ、そちとしたことが。——おりん、仕舞の衣裳と舞扇まいおうぎをもて」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)