膚触はだざわ)” の例文
絹夜具の膚触はだざわりが、いやに冷たくて気味が悪かった。おまけに、ひびの切れた手足がそれに擦れるたびにばりばりと異様な音を立てるので、彼はびくびくした。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
もうそのせきばらいで、小父さんのお医師いしゃさんの、膚触はだざわりの柔かい、ひやりとした手で、脈所をぎゅうと握られたほど、悚然ぞっとするのに、たちまち鼻がとがり、眉が逆立ち、額のしわ
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蒼白あおじろい顔も、もう酔ったようにかッいきおいづいて、この日向で、かれこれかんの出来ているらしい、ペイパの乾いたびん膚触はだざわりもあたたかそうな二合詰を買って、これを背広のわきへ抱えるがごとくにして席へ戻る
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)