腹鼓はらづつみ)” の例文
次郎七と五郎八は、あっけにとられて、しばらく狸の腹鼓はらづつみを聞いていました。それから初めてわれに返ると、五郎八は次郎七の肩を叩いて言いました。
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
たぬき腹鼓はらづつみとも違うようでござりますなどと云う者も出て来て店員たちの知らぬ間に奥で問題になっていた。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ひとり古風な腹鼓はらづつみのみにあらず、汽車が開通すれば汽車の音、小学校のできた当座は学校の騒ぎ、酒屋が建てば杜氏とじの歌の声などを、真夜中に再現させて我々の耳を驚かしています。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「矢張り狸が腹鼓はらづつみでも打つと言つたことかネ」
すると、今まで腹鼓はらづつみをうっていた狸は、にわかに死んだ真似まねをして、椋の木から落ちてきました。
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
御隠居ごいんきょがいろんな唄を歌いますと、それに合わして大きな狸が、腹鼓はらづつみのちょうしを合わせました。
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)