腑効ふがい)” の例文
「さようでございましょうか、へい、」といってこの泥に酔ったような、あわれな、腑効ふがいない青年わかものは、また額を拭った。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時にははっとするほど自分を腑効ふがいなく感じ、いっそ満洲まんしゅうへでも飛び出してみようかと考えることもあったが、あの辺にも同窓の偉いのが重要ポストに納まっていたりして、何をするにも方嚮ほうこうわからず
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ただ等閑なおざりに言い棄てたが、小松原は思わずこぶしを握った。生れて以来このかた、かよわきこの女性にょしょうに対して、男性の意気と力をいまだかつて一たびもためにあらわし得たおぼえがない。腑効ふがいなさもそのドンづまりに……
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ええ! 腑効ふがいない。」
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)