腐屍ふし)” の例文
土にはまるでそれが腐屍ふしででもあるように、臭気があるように感じた。彼はどうして、寄宿舎に帰ったか自分でも知らなかった。
死屍を食う男 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
今にしてさとらずんば、汝の腐屍ふしもまた、祁山きざんの鳥獣にきょうさるる一朝の好餌でしかないぞ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沼の表は、曇った空を映して腐屍ふしの皮膚のように、重苦しく無気味に映って見えた。
死屍を食う男 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
ひとたびは光秀の逆を道義に照らしてののしった者も、いまは口の裡に称名しょうみょうを念じて帰った。れに腐屍ふしの下へ花を投げてゆく者もあった。警固の武士もそれを見てとがめるようなことはしなかった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腐屍ふしにおいが、安岡の鼻を鋭くいた。
死屍を食う男 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)