脚気かつけ)” の例文
旧字:脚氣
「どうも国へ帰りたくてね、丁度ちやうど脚気かつけになつたやつが国の土を踏まないと、なほらんと云ふやうなものだらうかね。」
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
師家しかを追はれたのではなく脚気かつけの気味で帰つてゐるのだとか、Yは病気にもかかはらず、いつも熱心に画の勉強をしてゐるといふ近所の少年たちの評判なので
最も早熟な一例 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
一夏脚気かつけの出たとき、朝早く外へ出て、跣足はだしでしつとりした土を踏んだことなどあつたが、いくら体が丈夫になつても、こんな処にはとても一生暮せさうもなかつた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
私抔わたしなどを御覧なせい、御舘おやかたへ帰つて見りや、豚小屋からしりの来さうな中に御台所みだいどころ御公達ごきんだち、御姫様方と御四方およつかたまで御控へめさる、これわし脚気かつけの一つも踏み出したが最後
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ひたすらにわが身いとしと銭湯せんたう脚気かつけはぎをさすりけるかな
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
夏の恐怖に物言はぬ脚気かつけ患者のはうむりの列。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)