胸一杯むねいつぱい)” の例文
いや勿論もちろん、これには御主おんあるじ擁護おうごもあらうて。自分じぶんふことは、兎角とかく出放題ではうだいになる、胸一杯むねいつぱいよろこびがあるので、いつもくちからまかせを饒舌しやべる。
そしてふかぶかと胸一杯むねいつぱいに匂やかな空氣を吸込すひこめば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかつた私の身體からだや顏には温い血のほとぼりがのぼつて來て何だか身内に元氣が目覺めて來たのだつた。………
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)