胡馬こば)” の例文
徒歩の兵は大部分討たれあるいは捕えられたようだったが、混戦に乗じて敵の馬を奪った数十人は、その胡馬こばむちうって南方へ走った。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「なら、胡というのは、どうだ。胡馬こば北風にいななくの胡だ。しんを亡ぼすものは胡なり、の胡だ。これなら、貞任さだとう宗任むねとうの子孫らしいぞ」
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
最も近い久米赤島くめあかしまへも三十里という洋上の無人島、胡馬こばまたは久場くばという小島にも、やはり鼠が住んでいた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
呉牛ごぎゅうの喘ぎ苦しく胡馬こばいななきを願えども甲斐なし。
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
毎年秋風が立ちはじめるときまって漢の北辺には、胡馬こばむちうった剽悍ひょうかんな侵略者の大部隊が現われる。辺吏が殺され、人民がかすめられ、家畜が奪略される。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)