胆勇たんゆう)” の例文
この日、下島しもじま先生の夫人、単身たんしん大震中の薬局に入り、薬剤の棚の倒れんとするをささふ。為めに出火のうれひなきを得たり。胆勇たんゆう、僕などの及ぶところにあらず。
素裸に腹帯をめて、途中川二つ渡って、伯父夫婦を見舞に来た、宿に着いたのは真夜中二時だ、と聞くさえ、その胆勇たんゆうほとんど人間の類でない、が、暴風ぼうふう強雨きょうう如法にょほう大闇黒中だいあんこくちゅう
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)