肉身しんみ)” の例文
またはてんでんの小児こどもの噂などで、さのみ面白い話でもないが、しかしその中には肉身しんみの情と骨肉ちすじの愛とが現われていて、歎息たんそくすることもあれば
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
母の肉身しんみの弟ではあつたが、顔に小皺の寄つた、痩せて背の高い母にはすこした所がなく、背がずんぐりの、布袋ほていの様な腹、膨切はちきれる程酒肥りがしてゐたから、どしりどしりと歩くさま
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その夜一同客座敷へ集まッて四方山よもやまの話を始めたが、いずれも肉身しんみの寄合いであるから誰に遠慮ということもなくその話と言ッては藩中のありさま、江戸の話、親類知己の身の上話
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
が、智恵子の親切は肉身しんみ姉妹きやうだいも及ばぬとお利代は思つてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)