聞耳きゝみゝ)” の例文
博士は中單チヨキボタンを嵌め掛けた手をとゞめて、聞耳きゝみゝを立てた。この「どこか徃つてよ」には、博士は懲りてゐる。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
梯子段にも廊下にも、宿の女中や娘や料理人が、昂奮した樣子で、しかも面白さうに聞耳きゝみゝを立てゝ居た。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
夜中に二三度雨が降つて居ないかと聞耳きゝみゝを立てもした。けれど、それは日本の習慣が自分にあるからで、高いところに寝て居る身には、雨が地を打つ音などはきこえやうが無い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
怜悧な玉ちやんは聞耳きゝみゝを立てて、ほんを置いて立つて、唇のところに指を當てて、可哀い大い目を睜つて、二親を見比べてゐる。指をくはへてはならぬと、博士が教へてゐるので、㘅へはせぬのである。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)