“考慮（こうりょ）” の例文
私は、「上善（じょうぜん）水（みず）の如（ごと）し」などと口ずさんでノンビリしていたが、それには、時の要素（ようそ）を考えねばならぬという考慮（こうりょ）や、色々のものが籠（こも）っていた。
親は眺めて考えている (新字新仮名) ／ 金森徳次郎(著)
しかしその本（もと）をいかにして養うかについての実際的な考慮（こうりょ）が足りないとて、いつも孔子に叱（しか）られるのである。彼が孔子に心服するのは一つのこと。
弟子 (新字新仮名) ／ 中島敦(著)
これはむろん主として各方面の事情を考慮（こうりょ）してのことではあったが、いくらかはかれの気持ちをも察して、開塾式の日取りを日曜に選んでくれたおかげで
次郎物語：05 第五部 (新字新仮名) ／ 下村湖人(著)
その身嗜（みだしな）みのために、絶えざる考慮（こうりょ）を払（はら）ったに違（ちが）いない、女性の身体（からだ）が、ゆで蛸（だこ）か何かのように、鉤に釣（つ）るされて、公衆の面前、しかも何等（なんら）の同情もなく、軽佻（けいちょう）な好奇心ばかりで
死者を嗤う (新字新仮名) ／ 菊池寛(著)