老鶯おいうぐいす)” の例文
けれど、黄昏たそがれの色深く、葉桜や若葉の蔭に、老鶯おいうぐいすの啼き迷うのが時々聞かれるぐらいなもので、本堂も洞然どうぜん、留守のような静けさだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老鶯おいうぐいすが裏の林から時々のどかの声を洩らし、かけいの水がトコトコと池の中へ絶えず落ちている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
滝つぼには落花はなあくたが浮いたり沈んだりしていた。どこかで、老鶯おいうぐいすが啼きぬくのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
畑を越した藪蔭から老鶯おいうぐいすしわがれた声で時々啼くのが聞こえて来る。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老鶯おいうぐいすが啼きぬいている。花は落ちて泥土でいどに白い。鎌倉の春も更けたかと想わせる——
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山科の里には、老鶯おいうぐいすが啼きぬいていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)