美禄びろく)” の例文
旧字:美祿
生れつき遠慮ッ気のないほうだから、会釈なしにやっつけますが、美禄びろくに美人に美肴びこうと、こう三拍子そろったんじゃ、いかに臆面のない手前でも顔まけをいたします。
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「そこが酒だよ、酒をめしあがりゃ、寒いも暑いもないさ。酒は天の美禄びろくだと云うじゃねえか」
火傷した神様 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
美禄びろくてのめのめと自己のみ半生の栄耀えいようぬすむような鹿之介幸盛であろうはずはない。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酒の自由に飲めない彼らは、かかる映画の上に自分を投射して、そこにみかわされる美禄びろくに酔うのである。これらの点でこれらの映画はジャズ音楽とまさに同種類の芸術である。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)