置据おきす)” の例文
夏のうち仕舞ひ込みたる押入のちりに大分光沢つやうせながらしかも見馴れたる昔のままの形して去年ありける同じき処に置据おきすゑられたるさながら旧知の友に逢ふが如し。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
わが痩せたる手に捧げ来りてここに置据おきすえたるもの、今や重ねてこれを見て我はそも何とかいわん、胸ふさがりて墓標の前にうずくまれば、父が世にりし頃親しく往来ゆきかいせし二、三の人
父の墓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)