繊麗きゃしゃ)” の例文
婆さんは年寄に似合わない白い繊麗きゃしゃな指で、九枚の文銭を三枚ずつ三列みけたに並べたが、ひょっと顔を上げて、「身の上を御覧ですか」と聞いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さては迷惑、一生可愛かわゆがって居様いようと思う男に。アレうそ、後先そろわぬ御言葉、どうでも殿御は口上手と、締りなくにらんでつ真似にちょいとあぐる、繊麗きゃしゃな手首しっかりととらえやわらかに握りながら。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)