“繊々”の読み方と例文
読み方割合
せんせん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あはれ、この少女のこころはつねに狭き胸の内に閉ぢられて、こと葉となりてあらはるる便たつきなければ、その繊々せんせんたる指頭ゆびさきよりほとばしり出づるにやあらむ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「あなたは、この新月がお好きだそうでございますね、さきほど『長安古意』の、繊々せんせんたる初月、鴉黄あおうに上る……を口ずさんでおいでのを承りましたよ」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その間に繊々せんせんとしてかかる新月の美しさ。そうして、微かなるその新月の光に向いた山の峰が、涙の露を糸に引いたようなカーヴをかけているいじらしさ。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)