練貫ねりぬき)” の例文
おもきを誇りし圓打まるうち野太刀のだちも、何時しか銀造しろがねづくりの細鞘にそりを打たせ、清らなる布衣ほいの下に練貫ねりぬきの袖さへ見ゆるに、弓矢持つべき手に管絃の調しらべとは、言ふもうたてき事なりけり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
練貫ねりぬきつまを高くとった美貌な女役者が、半開きの扇を眉にかざしてにかかったとたんに、どうしたのか、上下、二百四十九けん(組)の桟敷さじきが、ごうぜんと凄い物音をたてて、諸仆もろだおれに
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)