緯糸よこいと)” の例文
これは支那の河西かせいの名産でございまして、経糸たていとには羊の梳毛すきげをつかい、緯糸よこいとには駱駝らくだの毛を使って織りますんでごぜえまして、シャッキリさせるためには
顎十郎捕物帳:03 都鳥 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あの物語の緯糸よこいとになつてゐる若い男女の恋のいきさつなどは、愚かな戯れとしか見なかつた。言ふまでもなく私を捉へたのは、あのペトロニウスの哲学だつた。わけてもその死に方だつた。
母たち (新字旧仮名) / 神西清(著)
ちゞみの糸四十すぢ一升ひとよみといふ。上々のちゞみは経糸たていと二十よみより二十三よみにもいたる。但しをさには二すぢづゝとほすゆゑ、一升の糸は八十すぢ也。布幅ぬのはゞ四方に緯糸よこいともこれにしたがふてあはせざれば地をなさず。
その経糸たていとに十六世紀ロンドンの汚物、野蛮性を習性として持ち、その緯糸よこいとに「タンバアレン」の光彩や「ヴィナスとアドニス」の技巧に熱狂的な愛着を持つ、そういう頭脳の織物というものは
今日も亦緯糸よこいとをたぐりしと叱りし。
須賀爺 (新字新仮名) / 根岸正吉(著)