結託けったく)” の例文
……吹屋の棟梁とうりょう結託けったくして小判を吹きわけて純金分だけにしておけば、ほんのわずかの量ですむ。……まあ、手前はこう睨んだ。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ところがここにまた、天満てんま浪人の常木鴻山こうざんたわら一八郎などと申す者あって、江戸の隠密どもと結託けったくなし、御当家の内秘を探りにかかっております
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜなれば、彼が、神戸三七信孝を立て、すでにその信孝と事前に結託けったくしていることは、隠密の沙汰ではなく、公然、知れわたっていたからである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
てまえが聞き入れた事では、伊丹城の重臣の二、三が結託けったくして織田家のきびしい監視かんしの眼をくぐり、沢山な糧米や穀物こくもつを闇売りいたしたのが、安土へ知れたのが、もとかと思われまする
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)