細見さいけん)” の例文
途中、街道の古びた草紙屋で見つけて買い求めたのは、一冊の懐中絵図ふところえず——その頃、まま版行された道中細見さいけん、あるいは、御府外名所手引てびきなどのたぐいでありましょう。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「天井から床下まで、——それから雇人共の部屋から荷物は皆んな調べて見ましたが、銘々少しづつ溜めて居る外には、不思議なことに女の子の手紙一本、吉原細見さいけん一册無いから癪にさはるぢやありませんか」
、将棋、貸本、細見さいけんなどが散らかっているが、ここは七刻限ななつぎりといって夕方は追い出しとなり、夜は屏風びょうぶを立て廻して、ボロ三味線に下手な甚句じんく弄斎節ろうさいぶしがはじまるのである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
細見さいけん売りの声、ぜんざい屋、ぼろんじの尺八——
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)