細径ほそみち)” の例文
旧字:細徑
一径いっけいたがい紆直うちょくし、茅棘ぼうきょくまたすでしげし、という句がありまするから、曲がりくねった細径ほそみちかやいばらを分けて、むぐり込むのです。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
白根山へはよしヶ平の一軒茶屋の手前から左に細径ほそみちを辿って、最高点の地蔵岳でも下駄履きで草津から楽に日帰りが出来る。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
海道を東のほうへはいり、むかし鎌倉道だったと伝えられる草がくれの細径ほそみち辿たどってゆくと、牛田村うしだむらという処の松原はずれにこけむしたしるしの石が立っていた。
日本婦道記:墨丸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と声をなだれあわせて、思いおもいな草の細径ほそみち蜘蛛くもの子のちるように逃げくずれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東禅寺寺内より高輪の町に出でんとする細径ほそみちに覆ひかゝれる一老松あり。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
引き返して五丈石の下から北に続く細径ほそみちを辿って見たが、これもいつか心細いものとなって、一つの崩れを横切ると灌木の叢中に見失ってしまった。
思い出す儘に (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)