素話すばなし)” の例文
わたくしの方は素話すばなしで、浜町の太夫さんの粋な喉を聴かせるなんていうわけには行かないんですから、お話につやはありませんがね
半七捕物帳:09 春の雪解 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
素話すばなし身にしみて、かた様のお国はと問はるるに、東京と答ふれば、吉原といふ処面白いさうな、吉原で遊び給ふ身のここらでは遊ばれまじ、といふ。
(新字旧仮名) / 正岡子規(著)
佐野さんが来るのを傍輩がかれこれ云っても、これも生帳面きちょうめん素話すばなしをして帰るに極まっている。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それより素話すばなしになりましてからはさわむらさき粟田口あわだぐち)についでは此の業平文治でございます。その新作の都度つどわたくしどもにも多少相談もありましたが、その作意の力には毎度ながら敬服して居ります。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)