素振すぶ)” の例文
うしろへ迫ったお十夜へ白刃の素振すぶりをくれながら、法月弦之丞、お綱の体を抱えたまま、さかまく狂瀾をのぞんで身を躍らせた……。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素振すぶりをしてみてからに、懐中へ手を入れると、久しく試みなかったひしの実のような穂先を取り出して、しっかとその先を食いこませたものです。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「文句を云うな」と十太夫は竹刀しないを取って素振すぶりをくれた、「さあ、支度をしてくれ」
饒舌りすぎる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まず父の名をはずかしめない人といえよう。長命で七十余年も生きたが、毎朝の稽古や素振すぶりを死ぬまで怠らなかったなど、その人の並ならぬ心がけが、うかがわれる。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)