糞力くそぢから)” の例文
むろん糞力くそぢからがある上に、拳固で下駄の歯をタタキ割るという奴だったから痛かったにも何にも、眼の玉が飛び出たかと思った位だった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
八五郎の糞力くそぢからがガツキと組み留めたのです。言ふまでもなくそれは、手代の伊之助の狐のやうな惡賢い顏でした。
自動車の御者ぎょしゃになってお客を乗せれば——もっとも自動車をもつくらいならお客を乗せる必要もないが——短い時間で長い所が走れる。糞力くそぢからはちっとも出さないですむ。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
上方では弱くて出世もできなかったが田舎へ来ればやはり永年たたき込んだ四十八手がものを言い在郷ざいごうの若い衆の糞力くそぢからを軽くあしらっている男、では一番、と平気で土俵にあがって
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
闇から生れたようなガラッ八の八五郎、一流の糞力くそぢからに、青髯の後ろから、むずと羽掻締めにしてしまいました。
八五郎の糞力くそぢからに引摺られて、井戸端の流しに崩折れた香之助は、男が良いだけに、まことにみじめな有樣です。
一番先に匕首を叩き落された勘次は、ガラッ八の糞力くそぢからにひしがれて、かえるのようにへたばりました。
一番先に匕首あひくちを叩き落された勘次は、ガラツ八の糞力くそぢからにひしがれて、かへるのやうにたばりました。
野分の後のやうな大混亂の店先に、ガラツ八の糞力くそぢからに組み伏せられて、フウフウ言つて居るのは、誰あらう、石原の利助の一の子分、伊三松の忿怒に歪む顏だつたのです。
どこに隠れていたか八五郎のガラッ八、一世一代の糞力くそぢからを出して、むんずと組み付いたのです。
何處に隱れてゐたか八五郎のガラツ八、一世一代の糞力くそぢからを出して、むんずと組み付いたのです。
娘お駒の視線に追はれて、パツと逃出した男は、八五郎の糞力くそぢから無手むずと組付かれました。
鉄童は首を絞められて、息も絶え絶えでしたが、手当が早かったので助かり、兼松はガラッ八の糞力くそぢからで窓からかつぎ出されると、焼け落ちる納屋を眺めてゲラゲラと笑っております。
鐵童は首を絞められて、息も絶え/″\でしたが、手當が早かつたので助かり、兼松はガラツ八の糞力くそぢからで窓からかつぎ掛されると、燒け落ちる納屋を眺めてゲラゲラと笑つて居ります。