粟田あわた)” の例文
粟田あわた山の春は、その部屋いっぱいににおって、微風が、がんか、瓔珞ようらくか、どこかのれいをかすかに鳴らした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鼻取相撲はなとりすもう』や『文相撲』などに登場する大名と来た日には、力の弱い骨頂で、『栗焼くりやき』『太刀はい』『粟田あわた口』『あかがり』などへ現われて来る、お大名衆と来た日には
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これも夜火でございましたが、粟田あわた口の花頂青蓮院しょうれんいん、北は岡崎の元応寺までも延焼いたし、丈余の火柱が赤々と東山ひがしやまの空を焦がす有様はすさまじくも美麗な眺めでございました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
阿波の粟田あわた村の葛城かつらぎ大明神の社では、昔ある尊い御方が、この海岸に船がかりなされた折りに、社の池の鮒を釣りに、馬に乗っておでかけになったところが、お馬の脚が藤のつるにからまって
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「いやもうひどい有様です。ここへ来る間にも、とうたおれたのを見ました。門や築地ついじの壊された所は限りもありません。粟田あわたの辻のあの大きな銀杏いちょうの樹すら折れていました」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これも夜火でございましたが、粟田あわた口の花頂青蓮院しょうれんいん、北は岡崎の元応寺までも延焼いたし、丈余の火柱が赤々と東山ひがしやまの空を焦がす有様はすさまじくも美麗な眺めでございました。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)